上顎急速側方拡大装置(スケルトンタイプ)
 装置の目的
・上顎急速側方拡大装置はネジの力で上あごの幅を拡大するための装置です。
 装置の仕組みと使用方法
・上顎急速側方拡大装置は上顎自体の幅を左右に拡大するための装置です。
 仕組みは左右の奥歯と小臼歯にハンドを装着し、このバンドに金属で溶接した太いハリガネからなる4本の足が中央部におかれた拡大用のネジに連結されており、このネジを回すことによって徐々にあごの横幅を拡大します。この足やバンドはしっかりと歯に接着剤で止められているため、患者様自身が取り外すことは不可能です。まれに、4本のバンドのうち1本の接着剤がはがれてカタカタと浮いている場合があります。外側からはほとんど見えません。通常、中央部にネジを特殊なネジ回しを使用して1日に1/4回転0.2mmのスピードで拡大を行います。従って10日で2mm、30日で6mmの拡大を行う事になり、矯正治療で歯を移動する速度よりは非常に早いスピードのため急速拡大を命名されています。拡大する部位は上顎の正中口蓋縫合と呼ばれる部分で、この元からある上あごの左右のつなぎ目を拡大する事ができるので、この治療が可能になります。しかし、この正中口蓋縫合を自然に開くことのできるのは個人差がありますがおおむね中学校1年生までです。これ以上の年齢の方にも、上顎の幅を拡大する必要のある方がおりますが、この場合にはあらかじめ上顎の骨に小手術を行って刻み目を入れておかないと顎自体
幅を広げる事はできません。
 この装着してから3日から4日は噛むときに歯が痛んだり、鼻の奥がツンとするような感じがしたり、目と目の間の鼻の付け根に違和感があったりしますが異常ではありません。これは鼻の底の骨と上顎の骨が同じものであり、鼻の底の幅が広がる時に特有のもので。しかし、2mm以上拡大が進む(装置装着後10日以上)とこれらの違和感はほとんど感じなくなります。眼鏡をかけている方は鼻に当たる部分の調整が必要になる事があります。
 通常30日前後で拡大は終了します。その後、拡大した正中口蓋縫合の部分が骨組織で満たされて後戻りしなくなるまで、この拡大装置はあごの横幅の固定装置(ギブスのような働き)として最低6ヶ月はそのまま口腔内に置く必要があります。
 緊急事態
・この装置自体のトラブルは非常に少ないものですまれに、
4本のバンドのうち1本の接着剤がはがれてカタカタと浮いている場合があります。
 この場合にはなるべく早く連絡して来院して下さい。放置すると正常に顎の骨が開かない場合があります。

 注意事項
・歯の裏側に太いハリガネとネジを装着しますので、最初は舌が当たって話しずらかったり、食事がしずらかったりしますがゴメンなさい。できるだけ発音や舌の邪魔をしないように歯茎に沿ってハリガネを曲げてありますが、あごの拡大中にハリガネが歯茎に食い込んでしまわないようにある程度の余裕を持たせてあります。不快感は1週間ほどで慣れてしましますのでご勘弁を!!しかし、プレートタイプと比較するとハリガネがむき出しの分不潔になりにくい利点がありますが、一方拡大する力で歯に負担がかかり易い欠点を持っていいます。
・歯の裏側の装置にトロロコンブやほうれん草などの繊維質のものがからまったりした場合には焦らずに指で取り除いて下さい。あまりにもからまり易くとりずらいトロロコンブやガムなどは避けた方が無難です。
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